2025.7.31(木)

 

服屋では畳みの服が崩れるとその都度畳み直す、というのは当たり前だが、誰も触っていないそのままの状態であっても全たたみ直したりもする。

畳みの山が一つ10枚だとして、山が10山あったら、それを時間があるときに片っ端からたたみ直す、100回でも、200回でも。

これを「服に空気を入れる」という。

私はこの表現が好きだ。

服に空気を入れることで、服を生き返らせる。

実際、何がそう思わせるのかはわからないけれど、畳まれたままの山は正気がない。

しかしそれをたたみ直すと、どこか植物が水を得たようにシャンとする、ような気がする。

最近家でハーブを育てているからか、出勤するとお水をあげなきゃという気分になって、まず全てをたたみ直す。

服に空気を入れると、自分の背筋もシャンとする。

しっかりしようという気持ちになる。

朝、オザケンの流れ星ビバップにみょうに共感をしながらメトロに乗って、そこから彗星とかシナモンとか聞くと妙に心にくるものがあって。

頑張ったよね、私たち。本当に。

って、そういう気分になるのが、すごく不思議で。

“今ここにある/この暮らしでは全てが起こる

儚い永遠をゆく/波打ち砕ける”

“真っ暗闇を打つ/太陽みたいに

とても冴えた気持ち/グラス高く掲げ

思いっきり祝いたいよね”

彗星のすごい歌詞。

流動性についての歌詞。

“もしも、間違いに気がつくことができなかったのなら?”

の問い。

“並行する世界の毎日/子供たちも違う子たちか”

台所は毎日の巡礼という新曲についてもかなり興味深い歌詞で、

“ああ、台所は具体の場所だ。

書斎の抽象 得意だからこそ

ねぎ しらたき 江戸むらさき

天かす しらす ゴマで誤魔化す”

それは根本的に、本とか音楽が複製可能できるのとは異なり、一回限り、偉大な毎日の具体性、まるでいのち。